「アルバイトの募集広告を出しているのに人が集まらない」
「ようやく採用したのにすぐに辞めてしまった」
「人手不足の深刻化を感じる」
このように悩んでいる飲食店やコンビニの店長さんは多いのではないでしょうか。最近、人手不足で営業時間を短縮することになったり、最悪の場合は閉店に追い込まれてしまったりするケースも増えてきました。
そこで本記事では、以下のようにアルバイトが集まらない理由をまとめ、その対策を解説します。
- アルバイトが集まらない社会的理由
- アルバイトが集まらない理由7つとそれぞれの対策
- 集まらないアルバイトを集める秘訣
- アルバイト募集時のポイント3ステップ
ぜひ、最後まで読んで参考にしてみてください。
目次
アルバイトが集まらない社会的理由
人手不足は一時的なものではなく、アルバイトの採用はますます困難になる傾向にあります。なぜなら、下のグラフからもわかるように労働人口(15歳~64歳の人口)が減少しているからです。子どもの人数を増やすために政府が対策を講じていますが、少子高齢化が予測通りに進んでしまうと、労働人口の中でもとりわけ若年層人口の減少が容易に予想されます。
.
アルバイトを今までのイメージで若年層だけに絞っているとなかなか募集は困難になっていきます。主婦の短時間パート採用や高齢者のアルバイト採用など採用基準をシフトするべきでしょう。
アルバイトがそ店舗に集まらない理由7つとそれぞれの対策
アルバイトを探す時、応募者はインターネットで簡単に他店と比較できる時代です。検索し、少しでも条件が良いところに応募することになります。インターネットで募集記事を出す際、アルバイトが集まらない理由は以下の7つが挙げられます。
- 若年層に絞っている
- 時給が相場より低い
- 土日出勤が必須
- 職場環境が整っていない
- 福利厚生が整っていない
- 「経験者優遇」と募集広告を出している
- 職場のメンバーの雰囲気が伝わっていない
それぞれの対策とともに詳しく解説していきます。
1.若年層に絞っている
実質の募集を若年層に絞っていると人が集まりにくいのが現状です。少子高齢化が進んでいるという点が大きな要因といえます。早目に舵を切って、若年層にこだわらず年齢層を拡げましょう。
募集広告に「年齢不問」としながらも「学生アルバイトさん活躍中」と入れると実質的に若年層に絞ることになってしまいます。
子育て世代やそれ以上の年齢層が応募しやすい広告を作成しましょう。
「主婦主夫の方も大歓迎」「週3日、短時間でもOKです」などの文言が、実質的に募集年齢層を広げることにつながります。一度使ってみてください。
2.時給が相場より低い
時給が相場より低いと、人はなかなか集まりません。求職者にとって時給が最大の判断材料であり、ネット検索をして少しでも条件の良いところを選択してしまうからです。
現在のアルバイト時給の相場は全国平均で1,125円です。(2024年5月24日NHKNEWS)
相場を加味し、地域の同業他店と比較して同等か10円でも高く設定してみましょう。
アルバイト募集にかかる費用を考えれば、採用を長引かせるより、短期間で採用を決定させた方が得策の場合があります。同業他店より高めに時給を設定し、採用決定、即仕事開始とテンポよく進めることがおすすめです。
3.土日出勤が必須
飲食店やスーパー、ドラッグストアの多くは土日も営業する上、混雑する場合もありますので、土日の人員確保が必須です。一方で、集まりやすいのは平日勤務を希望する方です。そのため、募集広告に「土日を含めた週4日勤務できる方を募集します」と出してしまうと、人は集まりにくくなってしまいます。
そこで、募集文を「土日のどちらか勤務できる方を歓迎します」としてみてください。「土曜日勤務スタッフ」と「日曜日勤務スタッフ」の2人を採用して、週末のどちらかを休ませた方が、応募者が集まりやすくなります。
4.職場環境が整っていない
休憩場所、テーブルやイス、個人ロッカーは整っていますでしょうか。環境を整えることは重要です。1日何時間か一緒に仕事をする上で、環境が悪いとストレスを感じてしまうからです。例えば「室内の空気が悪い」「道具が壊れている」などは、徐々にストレスとなり心に溜まってくるものです。
ゴミ箱の設置や清潔なトイレなど細かい点にも気を配り、職場環境を整えることは、長く働いてもらうことに繋がります。ぜひ職場環境を整えましょう。
5.福利厚生が整っていない
福利厚生を整えることは重要です。なぜなら募集広告に「社会保険完備」の文言を入れることによって差別化ができるからです。その上「しっかりした安全な職場」というイメージも与えます。
福利厚生には①法廷福利厚生と②法定外福利厚生があります。
①法廷福利厚生は一定の要件を満たす必要があり概ね長時間労働のアバイトには適用されます。一方②の法定外福利厚生は事業主が独自で定めている制度でアルバイトにも適用されるものです。下表をご参照ください。
1 | 法廷福利厚生(社会保険) | 健康保健 |
介護保険 | ||
労災保険 | ||
雇用保険 | ||
厚生年金保険 | ||
2 | 法定外福利厚生 | 通勤手当 |
食事補助 | ||
特別有給休暇 | ||
各種優待割引チケット等 |
雇い主にとって福利厚生を整えることは、費用がかかることになります。しかし長期的なアルバイトが確保でき、定着率を上げることにもつながるので有効な手段ともいえます。
6.「経験者優遇」と募集広告に出している
募集広告を出す時、「経験者優遇」という言葉を使うと未経験者からの応募は少なくなります。未経験者にはハードルが高くなり、応募をためらうからです。逆に「未経験者歓迎」「1から教えます」と掲載するとハードルが低くなり、ぐっと応募者が増加します。
未経験者を採用して、教育しましょう。経験者にとっても「自分には経験があるのだから有利」と考え、応募をしてきますので問題ないようです。最初は皆、「未経験者」からスタートしたことを思い出し「未経験者歓迎します。ここでスキルを身に付けよう。」という募集広告を出しましょう。
7.職場のメンバーの雰囲気が伝わっていない
メンバーの雰囲気が伝わるような募集広告を作成しましょう。求職者が気になるのは「どんなメンバーと一緒に仕事をするのか」だからです。求職者の気になる点に応えるために、募集広告には以下を入れてみましょう。
- メンバーが集まって笑顔になっている写真を掲載する
- 先輩アルバイトさんのインタビューを掲載する
- 先輩アルバイトさんの仕事の流れやタイムスケジュールを掲載する
職場の雰囲気は文字情報だけでは伝わらないので「写真」や「ふきだし」や「スケジュール表」を使って視覚に訴えることも大切です。求職者が職場のメンバーと馴染んで、仕事をこなすイメージを持てるような工夫をしましょう。
集まらないアルバイトを集める秘訣
求人広告をネット掲載する場合、募集記事の工夫は必須です。応募者は自宅で検索するだけで条件を比較検討できるからです。以下の2点に注意し、店舗の魅力をアピールしつつアルバイトを集めていきましょう。
- 募集時期を考える
- その店舗で働くメリットをアピールする
それぞれ解説します。
1.募集時期を考える
アルバイトを集めやすい時期は、3月下旬から4月中旬です。この卒業、入学シーズンに合わせて新生活に応じたアルバイトを探す人が増加するからです。主婦も子どもの卒業、入学に合わせて求職活動を始めます。また、新生活が落ち着いてきたころの5月も集まりやすい時期といえます。まずは、この時期に合わせて募集をしましょう。
2.その店舗で働くメリットをアピールする
求人広告サイトに掲載する時は、その店舗で働くメリットをアピールしましょう。たとえ時給が同じでもその店舗で働くことにメリットを感じてくれれば、人は集まってきます。例えば以下のような独自のメリットはないでしょうか。
- 賄いを提供する
- お店の商品が従業員割引価格で購入できる
- ジムの施設が自由に使える
- 半年ほど仕事をすれば、魚がさばけるようになる
その店舗ならではのメリットを洗い出し、独自の魅力を広告に掲載してみましょう。
アルバイト募集時のポイント3ステップ
アルバイト募集広告を見て応募者がきてからのポイントを以下のように3ステップに分けて解説します。
- アルバイトの面接時のポイント
- 採用時のポイント
- 勤務初日のポイント
ひとつずつ見ていきましょう。
アルバイトの面接時のポイント
圧迫面接にならないように、応募者をリラックスさせ、誠意ある態度で臨みましょう。面接時は以下の点がポイントになります。
- 仕事内容をきちんと説明し、条件を提示する
- 応募者が複数名いる場合は、同じ質問をするように準備する(後で比較検討する材料になる)
- 質疑だけでなく、荷物の置き方や書類の提出の仕方もチェックする
丁寧だけどテンポが遅いタイプ、少し雑な動きだけどスピーディーなタイプなど、応募者を見極め、店舗のカラーに合った採用を心がけることがポイントです。
採用時のポイント
採用者を決定したら、速やかに連絡をします。面接当日や翌日に連絡をし、意志を確認しましょう。応募者も複数の面接をしている場合が多いので、スピード感のある対応が必須です。そしてなるべく日にちを空けずに、勤務初日の日程まで決めてしまうことがポイントになります。
不採用の方にも丁寧に返事をしましょう。お客様として来店する場合もあるからです。次のチャンスがあったらまた応募したいと思ってもらえるような誠意のある対応が必要です。
勤務初日のポイント
アルバイト初日も重要です。1日で辞めてしまうケースもあるからです。長く働いてもらうために以下のような点に注意しましょう。
- 面倒見の良い先輩アルバイトの下につけ、簡単な仕事から手伝ってもらう
- 休憩時、食事時間にひとりにならないように気を配る
- 初日の終了時間には店長が声をかける
人数が大勢いたり、忙し過ぎると存在を軽視してしまいがちです。特に、初日から慣れるまでは、大切に育てる気持ちで接しましょう。
まとめ
労働人口の減少に伴い、店舗スタッフの人員不足は今後も続く傾向にあります。アルバイトの採用は若年層にこだわらず、年齢層を広げて募集をしましょう。そして採用後は長く仕事をしてもらうために労働環境や福利厚生を整えることがポイントです。
少子高齢化が進むことを見越した上で、今後もアルバイト採用を柔軟に変化させ、店舗の発展のために改善しつつ進んでいきましょう。